【テクニカルインフォメーション】スライドグラス
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【テクニカルインフォメーション】マツナミのスライドグラスは、ガラスの種類や加工の違いにより、 使用用途に合ったものをお選びいただけます。
●明治38年(1905年)以来、長年にわたり培ってきた顕微鏡用スライドグラス製造技術を継承
●マツナミのノウハウと職人技術を活かした製品開発
●ISO9001認証の徹底した品質・工程管理の下にて製造し、自動化推進による安定した生産、お客様の信頼とご満足を得る品質を追求
●検鏡作業に大きく影響を与えるガラス表面の清浄度を高めるために、異分野である電子部品用ガラス部門の高度な洗浄技術を取り入れた弊社独自の洗浄ライン開発
●お客様の様々なニーズにお応えし、ガラスの種類および加工の違いにより多種多様な製品群を展開
ガラスの種類と特徴
●水板ガラス(青板)
・ソーダ石灰ガラスを使用しています。
・フロート製法により平坦性が良好で、安価です。
・加工を行いやすくするために白板と比べ金属物質が多めに含まれています。
・ガラス原板は錫の上に溶融したガラスを流す製法でつくられているため、裏面(ボトム面)にはスズ成分が付着しており、表裏の表面成分には若干の違いがあります。
(スズが多い面はUV検査灯で紫外線を照射等で白っぽく見えます。)
・薄い水色(薄緑色)を呈しており、自発蛍光があるため蛍光観察には適しません。
・厚み:t=1.0(0.9~1.2㎜)、t=1.3(1.2~1.5㎜)
●白板ガラス
・クラウンガラスを使用しています。
・化学的に純度を高く、透過性が良好で比較的高価です。
・自発蛍光が少なく、蛍光顕微鏡での使用に適しています。
・ガラス原板はダウンドロー製法でつくられるために平面性・平行性・反りの精度を高めることが難しく、表面に10μm程度のうねりがあります。
・切断時に切粉が出やすく、研磨洗浄時に落としきれなかった切粉がガラス表面に付着することがあります。
・厚み:No.1(0.8~1.0㎜)、No.2(1.0~1.2㎜)
●ファインガラス
・水板ガラスをベースに改良したソーダ高透過ガラスです。
・水板ガラスと同様、フロート製法により平坦性は良好です。
・白板ガラスに匹敵する光学特性をもち、透過性に優れており自発蛍光が少ないです。
・ガラスの耐候性が大幅に改善され、経時的な風化に伴う「ガラスやけ」が発生しにくくなっています。
尚、カバーグラス製品には、耐熱性と硬質性の高いホウケイ酸(硼珪酸)ガラスを使用しております。
各硝材の組成、屈折率や透過率の違いについては、表・グラフをご覧ください。
スライドガラス端面の加工方法
●切放(きりはなし)
スライドガラスは、ガラス原板に表面(トップ面)から切り込み傷を入れ、割って切断します。
切放しの製品では端面がガラス切断時そのままの状態であり、端面を観察することによってガラスの表裏を判別することができます。
また、スライドガラスの角や端面は非常に鋭利な形状ですので、取り扱いの際には十分にご注意ください。
●縁磨(ふちみがき)
スライドガラスの角や端面を研磨加工しています。
研磨時に生じたガラスの粉は水で洗浄します。
取り扱い時の怪我だけでなく、ガラスのカケ等を防ぐ効果があります。
スライドガラスのフロスト加工
●インクフロスト加工
・ファインフロスト
スライドガラス印字装置での使用を考慮し、バーコードの印字に最適化したインク表面を独自に設計しました。
あわせてキシレン等の耐溶剤性・耐アルカリ性がスーパーフロストと比較して向上しました。
通常の筆記記入はもちろん、より滑らかなインク表面を実現しています。
また、カラーバリエーションは全8色と豊富に取り揃えております。
・スーパーフロスト
特殊カラーインクを使用してフロスト加工を施してあります。
キメが細かく不透明なので、文字の記入・判読が容易です。
また、カラーバリエーション(全5色)により、標本の分類に非常に便利です。
●スリガラス状フロスト加工
スライドガラスの一端に微細な砂を吹き付けた加工です。
鉛筆で簡単に書くことができ、染色液や溶剤に浸しても消えないので、整理・保存に便利です
●フロスト加工無し
スライドガラス全面を有効に利用することができます。
スライドガラス使用期限・保管方法
●製造日の確認方法
ロット番号から確認することができます。
製品に記載のロット番号の左から頭5桁で年(西暦下1桁)・月・日の順に表示しております。
例:60128 →2026年01月28日製造
●使用期限
・現在の生産品につきましてはロット番号と共に有効期限を記載しております。
・ガラスの主成分は乾燥剤シリカゲルと同じで吸湿する性質があり、スライドガラス表面は経時的に変化をきたします。このため空気中の水分や熱等の環境に大きく左右される製品の特質上、有効期限内であっても保管状況(湿度・温度・庫内雰囲気等)によって、ガラスの表面状態の変化が著しく進行する可能性がございます。
・期限記載のない製品につきましては、親水性及び剥離防止効果も含め品質保証期間の目安として以下をご参考にご判断をお願いいたします。
ノンコートスライドグラス:1年
コートスライド(フィルム包装無):1年
コートスライド(フィルム包装有):1年6ヵ月
●保管方法
・高温・多湿の場所を避けて保管し、お早めにご使用ください。(特に夜間は放射冷却現象によって湿度が相対的に上昇します。)
・紙箱製品においては、紙箱の内側面を折る等、使用途中のガラスが倒れないように整列し立てた状態を維持するように保管してください。
・スライドガラスがフィルムに巻かれている場合は、そのフィルムも巻き直して保管するとより効果的です。
ガラスの表面付着物
製品によっては表面の劣化防止や滑り性の改善、品質保持のために表面改質剤やくっつき防止剤を塗布する処理を行なっており、肉眼的に油膜状や液だれ状にみえる物質がガラス表面に付着していることがあります。
製品仕様ですが使用時に支障をきたす場合は、アルコールで拭きとってください。
ガラスの耐候性
●ガラスは乾燥剤シリカゲルと同じ二酸化ケイ素(SiO2;シリカ)を主成分とする材質です。直接水に濡れるだけでなく、空気中の水蒸気を含む環境下では水分の凝集が起こることがあります。特に太陽光に晒された場合など気温の変化や紫外線の影響により、ガラスの表面にくもりが生じる変化(風化)が起こります。
●ガラスやけ
大気中にガラスを長時間放置すると、ガラスが風化してガラス表面に青紫の干渉色(青やけ)や表面が白く濁る(白やけ)などがみられることがあります。
・青やけは酸などによって浸食を受けた際にガラス成分内のアルカリイオンが溶出し、シリカ層の多い屈折率の異なる層が表面に残ったものです。
・白やけはガラス表面に水分が吸着され、その影響でガラス中のイオン成分が交換され、大気中の炭酸ガスや酸性ガスによって炭酸塩や塩化物が結晶化したものです。
ガラス表面を洗浄してから使用する場合はガラス表面の清浄度が高いことによって、時間経過と共に空気中の成分と反応してガラスのやけが生じる可能性がございます。
●撥水
開封後のガラスは、時間経過と共に撥水傾向がみられるようになることがございます。水が広がらず玉状になったり、パラフィン切片を載せた際に滑って逃げていくような現象などは、ガラス表面の撥水によるものです。
ガラス表面のシラノール基(SiOH)が水蒸気に触れると、大気中の物質を吸着しやすい状態になります。物質が吸着されたガラス表面には凹凸構造が生じ、製品本来の仕様よりも水を弾きやすくなってしまう特性があります。
このため開封品につきましては、特にお早めにご使用ください。
ガラスの物性
屈折率
光がガラスに、ある傾きをもって当たると、面の法線に近づく方向に屈折します。
この時、屈折率をn、入射角をi、屈折角をrとすると、屈折率nは次式で表されます。
屈折率:n=sin i/sin r
一般に屈折率は波長によって変わるので表にはJIS R3703で規定されているe線(546.1nm)での測定値を示します。
<スライドグラスの屈折率>
ne
水板 1.521
白板 1.524
ファインガラス 1.530
●透過率
ガラスに光が当たると、光の一部は表面で反射し、ガラス内部を通る際にその一部は吸収され、その残りが透過されて外部に出ます。
ここで、入射光の強さをIo、透過光の強さをIとすると、透過率Tは次式で表されます。
透過率:T=I/Io
スライドグラスの透過率は波長によって異なりますので、グラフをご参照ください。
仕様
| ne | |
| 水板 | 1.521 |
| 白板 | 1.524 |
| ハーフホワイト | 1.515 |
| ファインガラス | 1.530 |